映像制作における時間管理は、無視できない重要な要素です。フレームレート、時間コード、そしてその中でも特に「ノンドロップフレーム」はその中核をなします。しかし、これらの概念は初めて聞く方や初心者にとっては難解に感じられることも少なくありません。
ノンドロップフレームとは
ノンドロップフレームは、映像制作における時間コードの一種で、フレームの数と実際の時間が一致するように設計されています。言い換えると、1時間の映像は厳密に1時間の時間コードに対応します。ノンドロップフレームは、フレームレートが一定である映像で使用されることが一般的です。例えば、映画やアニメーションなどでは24fps(フレーム/秒)が標準的なフレームレートであり、この場合、時間コードはノンドロップフレーム方式を使用します。
ノンドロップフレームは、時間コードが映像の実際の長さと完全に一致するため、特にライブイベントや、時間が厳密に一致する必要がある場面で有効です。しかし、テレビ放送など一部のアプリケーションでは、フレームレートが一定でない(例えば、アメリカのNTSC規格では29.97fps)ため、ドロップフレームという時間コードが使用されます。これは、一定の時間(通常は10分)ごとに特定のフレーム(通常は2フレーム)を「落とす」(カウントしない)ことで、時間コードと実際の時間を一致させる方式です。
異なるフレームレートや時間コードの素材を混在させて編集する際には、時間のズレや同期の問題が生じる可能性があります!
ノンドロップフレームとドロップフレームの違い
ノンドロップフレームとドロップフレームの主な違いは、時間の表記方法にあります。ノンドロップフレームでは、時間コードは実時間と完全に同期しています。しかし、ドロップフレームでは、1時間ごとに108フレームを「落とす」ことで、時間コードがリアルタイムと同期するよう調整されます。どちらの方式を使用するかは、具体的な制作環境や配信形態、そして求められる精度によります。
ノンドロップフレームと他の時間コード形式の比較
時間コードとは、映像や音声の素材を正確に同期させるため、または特定の場面を素早く見つけるために用いられる、時間の表現方法です。時間コードは通常、時間(HH)、分(MM)、秒(SS)、そしてフレーム(FF)の4つの部分から成り立っており、”HH:MM:SS:FF”という形で表現されます。
映像制作の現場では主に3つの時間コード形式が使われます:ノンドロップフレーム、ドロップフレーム、パル(PAL)
ノンドロップフレーム
これは最も直感的な時間コード形式で、1時間の映像は厳密に1時間の時間コードに対応します。例えば、映画やアニメーションでは24fps(フレーム/秒)が標準的なフレームレートであり、この場合、時間コードはノンドロップフレーム方式を使用します。
ドロップフレーム
ドロップフレームは、特にテレビ放送でよく使われます。アメリカのNTSC規格では、秒間フレーム数が29.97fpsと一定でないため、一定の時間(通常は10分)ごとに特定のフレーム(通常は2フレーム)を「落とす」(カウントしない)ことで、時間コードと実際の時間を一致させる方式です。
パル(PAL)
ヨーロッパを中心に使用されている放送規格で、秒間フレーム数は25fpsです。したがって、パルの時間コードもまた、1時間の映像は厳密に1時間の時間コードに対応します。
これらの時間コード形式の選択は、制作する映像の用途や配信形式によって決まります。例えば、テレビ放送用の映像を制作する場合、放送される国や地域の放送規格に従ってドロップフレームやパルを選択することになります。
映画やウェブ動画など、テレビ放送以外の用途で映像を制作する場合は、ノンドロップフレームを選択することが一般的です。
まとめ
ノンドロップフレームは、時間コードが映像の実時間と完全に一致する形式で、映画やウェブ動画など、テレビ放送以外の映像制作で一般的に使用されます。時間コードの基本構造とその読み方を理解することで、映像素材の管理や編集作業がより効率的かつ精確になります。また、他の時間コード形式であるドロップフレームとパルとの比較を通じて、各形式の特性と適用状況を理解することで、具体的な制作状況に最適な時間コード形式を選択する手助けとなるでしょう。
映像制作の現場では、これらの時間コード形式を適切に使い分けることが求められます。これらの知識を身につけ、自身の制作に活かしていきましょう。
1992年生まれ。CM、テレビ番組の企画・演出・制作を経験し、撮影・編集も手がける映像作家・ビデオグラファー。モーショングラフィックスを中心に、ブランディングや、プロモーションをサポートいたします。