近年、メタバースやNFTと共に次世代の技術として注目を集めている人工知能(AI)。テレビやネットニュースなどで一度は見聞きしたことがある方も多いはず。人間の仕事を肩代わりして労働力や人件費の削減が期待される一方、人間の仕事が奪われる、特定の職種が無くなるなど不安視される面も少なくありません。
今回は、そもそもAIとは何なのか歴史や成り立ち、現在のAIができることなどを分かりやすく簡単に解説します。後半には今実際に触ることのできるAIも紹介していますので是非見ていってくださいね。
AI(人工知能)とは
AIとは英訳「Artifical Intelligence」の略称です。「Artifical」には「人工的」、「Intelligence」には「知能・知性」と言った意味があります。つまり人工知能のことですね。
AIの定義
AIという言葉はアメリカの計算機科学者で認知科学者のジョン・マッカーシー氏により提案されました。マッカーシー氏はAIを「知的な機械、特に知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と定義しています。
しかし、AIの研究が進むにつれ研究者により様々な定義がされ「人口的に作られた知能」であったり「それを作ろうとする研究分野」であったりと現状明確な定義は存在していません。
とはいえ、ごく一般的なAIの意味としては「人間のような知能を持った機械やシステム」と理解していただいて差支えないでしょう。
因みに、AIの対義語は「Natuar Intelligence(自然知能)」で人間や動物などの自然が生み出した知能のことを指します。
AIの種類
AIには大きく分けて以下の2種類があります。
- 特化型AI
- 汎用型AI
特化型AIとはその名の通り個別の活動に特化したAIを指します。例えば「絵を描く」「翻訳する」などです。対して汎用型AIとは個別ではなく全てができるより人間の頭脳のようなAIを指します。現在、特化型AIは作られていますが、汎用型AIの完成には至っていません。
AIの歴史
ここからはAIの歴史を解説していきます。
第1次AIブーム
AIは最近の技術と思っている方も多いのではないでしょうか。実はAIが最初に注目を集めるようになったのは1950年代、なんと70年も前からAIは注目を集めているのです。この最初に注目を集めるようになった時代を「第1次AIブーム」と呼びます。AIという言葉も第1次AIブーム中に提案されました。
第1次AIブームでは主に「推論と探索」が研究され、チェスや数学など特定の問題に対して解を提示できるようになったことで一躍ブームとなりました。
第1次AIブームの終わり
しかしながら、決められたルールの中で最適な解を出すことはできるようになりましたが、不確定要素が多い生活や社会の問題をAIで解決するのは難しく、AIに対する失望感が広がり第1次AIブームは終わりを迎えました。
第2次AIブーム
次にAIに注目が集まったのは1980年代、この時代を「第2次AIブーム」と呼びます。
第2次AIブームではコンピュータに専門的な情報(知識)を入れ、条件式を組み込むことで複雑な問題を解決することが可能になるエキスパートシステムに注目が集まりました。
第2次AIブームの終わり
エキスパートシステムにより第1次AIブームでなし得なかった現実的な課題の解決が期待されました。しかし、
- 情報(知識)の量が膨大になり矛盾や一貫性の無さが発生
- 曖昧な事例に対して判断するのが難しい
- 膨大な情報を人間が記述して用意する必要がある
などエキスパートシステムの限界が露呈したことでAIへの期待が低下し第2次AIブームは終わりを迎えました。
第3次AIブーム
次にAIに注目が集まったのは2000年代、これを「第3次AIブーム」と呼び、現在まで続いています。
第3次AIブームではAI自身が大量のデータ(ビッグデータ)からAI自身が知識を獲得する「機械学習」が実用化され、知識を定義する要素をAIが自ら習得する「ディープラーニング」が登場しています。
AIが学習する仕組み
現在AIの学習方法には以下の2つがあります。
- 機械学習
- 深層学習(ディープラーニング)
機械学習
機械学習は与えられたデータから法則性を見つけ出し、そこから分類や分析・予測などを行えるようにするための学習方法です。機械学習の中にもデータの入力方法により3つの分類があります。
- 教師あり学習
- 教師なし学習
- 強化学習
教師あり学習
入力データとデータ処理結果の正解(教師)を同時に与えることで、正解を参考に他の入力データも分類したり、動向を予測することが可能になります。
翻訳機能やメールのフィルタリング機能に使われています。
教師なし学習
入力データのみを与えることで、データの共通項や法則性を独自に見つけ出してグループ化することができます。
画像の高精細化や色彩の補正・着色、不良品の検知や設備トラブルの検出などに使われます。
強化学習
入力データとAIの出力結果に対する評価を与えることで評価がもっとも良くなるよう判断し出力を調整することが可能になります。
囲碁や将棋などゲームのシミュレーションゲームなどに使われています。
深層学習(ディープラーニング)
深層学習はディープラーニングと呼ばれ近年注目されている学習手法です。ディープラーニングではニューラルネットワークと呼ばれるニューロン(生物の脳を構成する神経細胞)の構造と働きをモデルにした数理モデルを用いた手法です。
十分な学習データさえあれば、ニューラルネットワーク自体が自力で分析・抽出に必要な特徴を見つけ、精度の高いデータ処理を行うことが可能です。一方で精度を上げるには大量のデータが必要となり、さらに大量のデータを分析するための時間も必要となるといったデメリットも存在します。
ディープラーニングの代表的な活用方として挙げられるのが以下の3点です。
- 画像認識
- 自動運転
- IOT家電
画像認識
学習データを読み込ませることで顔認証による対象の割り出しや機械の部品や細胞の異変など人間の目では見つけるのが難しい機微な変化を察知することができるようになります。
自動運転
交通ルールを踏まえた対応、歩行者や対向車の検知、信号・標識の識別など複雑な処理を実現することが可能になります。
IOT家電
人間の声による認識や日々の行動パターンを分析し最適な動作を行うことが可能になります。
2022年話題のAI
ここからは2022年話題になったAIを紹介します。紹介するAIは以下の4つ
- ChatGPT
- Midjourney
- Stable Diffusion
- mimic
1.ChatGPT
ChatGPTは人工知能を研究する企業OpenAIにより開発された対話型AIです。2022年もっともHOTなAIと言えるのではないでしょうか。
ChatGPTはその名が指す通りチャット形式で文章を入力するとAIが回答を返してくれる仕組みになっています。何と言ってもすごいのはその回答の幅広さでしょう。例えば「1月の祝日はいつ?」のような質問からしりとり、さらにはプログラムのコードまで回答として返してくれます。
現在はOpenAIのアカウントを作成すれば無料で利用することができます。今後は何らかの収益化を予定しているとのことで興味がある方は今の内に触っておくことをおすすめします。
※本記事は2022年12月時点での情報です。
2.Midjourney
今年1番AIの躍進として話題に上がったのは「画像生成AI」ではないでしょうか。Midjourneyもそんな画像生成AIの1つです。MidjourneyはDiscordで生成したい画像のキーワードを入力するとAIがそのキーワードに沿った画像を自動で生成してくれます。
この画像は「幻想的、美しい、城」のキーワードから生成された画像です。
MidjourneyはDiscordの扱いに慣れていれば難しいことなく画像を生成することができます。1ユーザー25枚まで無料ですので、興味がある方はぜひ利用してみてください。
3.Stable Diffusion
Stable Diffusionも「画像生成AI」の1つです。Stable Diffusionの強みはかなり細かいところまで指定して画像を生成できることでしょう。さらに、それなりのPCスペックを要求されますがローカル環境でも利用することができるという点もStable Diffusionの強みと言えます。
また、Stable Diffusionはオープンソースとして公開されており、今後、様々なサービスに搭載されていくことが考えられます。
十分なPCスペックがない方はWeb上で公開されている「Stable Diffusion Demo」がおすすめです。こちらは詳細な設定はできないものの簡単なキーワードを入れるだけで画像生成を体験できます。
こちらはStable Diffusion Demoを利用して「幻想的、美しい、城」のキーワードで生成した画像です。
4.Mimic
Mimicはイラストレーター向けに開発された国産の画像生成AIです。日本では色々な意味で話題になった画像生成AIではないでしょうか。Mimicは自分の描いたイラストをアップロードすることでAIが絵柄や画風を学習し描き手の個性が反映されたイラストを作成できます。
Mimicはイラストレーターの負担が減るといったメリットがある一方、AIで出力された画像の著作権の問題や自分の絵を悪意ある第三者が勝手に学習に使うのでは?というようなネガティブな反応がSNSを中心に増え、一時は公開停止を余儀なくされました。
現在はアカウントの厳正な審査などの対策の下、再公開されています。
AIの未来と課題
いかがだったでしょうか。今回はAIの成り立ち、歴史からAIの仕組み、いま利用可能なAIの紹介をしました。2022年は次世代技術への注目もありAI技術は躍進の年だったのではないでしょうか。
しかし、AIの発展と共に解決しなければならない様々な課題も存在します。中でもAIに合わせた法整備は急務と言えるでしょう。Mimicの一件はその追い付いていない法整備が浮き彫りになった件であったとも言えます。
とはいえ、これほどの革新的な技術に無料で触れられるのは今の内だけかもしれません。AIに少しでも興味があれば今の内に触っておくことをおすすめします。あなたに素晴らしい体験を与えてくれること間違いなしです。
もちろん、利用の際は節度ある行動を心がけることをお忘れなく。
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