GX(グリーントランスフォーメーション)とは?わかりやすく解説 企業の取り組み事例も紹介!

皆さんは世界の様々な企業がGX(グリーントランスフォーメーション)という環境問題対策に取り組んでいることをご存じでしょうか。今回はGXとは何なのか言葉の意味や注目されている理由、そして実際に企業が取り組んでいる事例まで紹介します。

GX 業界トレンド

GX(グリーントランスフォーメーション)とは?わかりやすく解説 企業の取り組み事例も紹介!

地球温暖化や環境問題、気候変動など世界中で地球規模の問題に対する意識が高まっている昨今、皆さんは世界の様々な企業がGX(グリーントランスフォーメーション)という環境問題対策に取り組んでいることをご存じでしょうか。

今回はGXとは何なのか言葉の意味や注目されている理由、そして実際に企業が取り組んでいる事例を紹介します。

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GXとは?

GXとは?

GX(グリーントランスフォーメーション)とは地球温暖化や気候変動の原因となる温室効果ガスの排出を削減を目標とし、化石燃料に頼らないクリーンエネルギーを主軸とした産業構造、経済社会システムの改革を目指す試みです。

日本も経済産業省が2050年までに温室効果ガスの排出量を0にするカーボンニュートラルや脱炭素社会の実現を目指すことを発表しました。

GXリーグ

GXリーグ

GXリーグとは2022年に経済産業省によって設立されたカーボンニュートラル実現に向け企業と学会・行政・金融界が共に経済社会システム全体の変革のための議論と新たな市場の創造のための実践を行う場のことを指します。

簡単に言うと「環境を改善しながら経済も活性化させよう」という試みです。

1.GXリーグに参画する企業に求められること

GXリーグに参画する企業には自社の温室効果ガス排出削減はもちろん、製品の材料調達から製造、販売、消費者の手に届くまでの一連の流れに関係する企業や消費者(生活者)に対してカーボンニュートラルに関する情報を提供、意識醸成担う「リーダーシップ」が求められます。

2.GXリーグに参画するメリット

GXリーグに参画する企業にはGX推進の先頭に立って牽引していくことが求められますが、その分、参画するメリットもあります。メリットは以下の3つです。

  1. 排出削減目標に向け再生可能エネルギーを積極的に取り入れることによるコスト削減
  2. GX推進企業としてのブランディング強化による企業の認知度アップ
  3. 環境問題への取り組みによる企業価値の上昇により投資家から資金を集めやすくなる

今後はより一層、環境問題に対する人々の意識が高くなることが予想されますので、ここで挙げたメリットは更に大きな効果を生むはずです。

GXが注目されている3つの理由

GXが注目されている3つの理由

企業や政府が力を入れているGX、では、なぜ今GXがこれほど世界中で注目されているのでしょうか。ここからはGXが注目されている理由を紹介します。

注目されている理由は3つ

  1. 環境問題への意識の高まり
  2. 世界的な脱炭素化の活発化
  3. EGS投資による市場の拡大

1.環境問題への意識の高まり

1つ目の理由は「環境問題への意識の高まり」です。3つの理由の中でも特にこの環境問題が大きな割合を占めるのではないでしょうか。近年、世界各地では地球温暖化による影響により異常気象が度々観測されています。例えば2003~2012年の世界の平均地上気温は、1850~1900年と比べ、0.78℃上昇しているとのデータが公開されています。

また、2022年は日本でも様々な異常気象が観測されました。

  • 年明けから2月にかけての記録的な大雪
  • 観測史上最速の梅雨明け
  • 6月下旬に35度を超す猛暑日の観測

これらの異常気象は地球温暖化の影響を受けているものが多く、環境問題への人々の意識が年々高まっています。その意識の高まりが環境問題と向き合うGXの注目を高めている大きな要因となっています。

2.世界的な脱炭素化への動き

2つ目は「世界的な脱炭素化への動き」です。上で紹介した環境問題への意識の高まりを受け国単位でも環境問題への取り組みが進んでいます。その中でも先進国を始めとした各国が力を入れているのが脱炭素化です。

世界最大のCO2排出国である中国は2060年、アメリカや日本は2050年、EUの一部のヨーロッパ100都市では2030年までと各国ともに2100年までの脱炭素化を実現を目指して動き始めています。

そのため、GXは世界中で企業のみならず国も力を入れる取り組みとなっており、注目を集める要因となっています。

3.EGS投資による市場の拡大

3つ目は「EGS投資による市場の拡大」です。EGS投資とは社会への貢献や企業統治に加え環境への配慮を考慮し選別して行う投資のことで、欧米を中心に投資家の注目を集め、投資残高も年々拡大傾向にあります。

このEGS投資は人々の環境問題への意識の高まりから今後も拡大することが予想され、今後は環境問題意識の低い企業は資金調達が難しくなる恐れがあります。そういった市場の傾向から多くの企業がGXに注目しています。

GXに取り組んでいる既存企業の事例【海外】

GXに取り組んでいる既存企業の事例【海外】

ここからはGXに取り組んでいる海外の既存企業の事例を紹介します。

紹介する企業は以下の3社

  1. Amazon
  2. Google
  3. Apple

1.Amazon

Amazonは2040年までに実質的なゼロカーボンの実現を目指す「The Climate Pledge(気候変動対策に関する制約)」を設立しました。このThe Climate PledgeにはMicrosoftやIBMなどのグローバル企業が53社参加しています。

また、Amazonは脱炭素社会に対する革新的な技術やサービス開発などを支援するファンドClimate Pledge Fund」を設立しています。

このほか、配送用の電気自動車EVを10万台購入することを決定しているなど自社だけでなく様々な企業へ脱炭素化を促すフラグシップとしてGXを主導する動きを進めています。

2.Google

Googleは、世界の大企業に先駆け2007年カーボンニュートラルを達成し、創業した1998年からカーボンニュートラルを達成した2007年までに排出した「カーボンレガシー(二酸化炭素排出量の遺産)」をオフセット、ゼロにしたと発表しました。

2017年には電力を100%再生可能エネルギーに切り替えを実現。

さらに、2030年までに世界の事業所やデータセンターなどで使われる電力を、証書などを用いた再生可能エネルギーの利用ではなく、二酸化炭素を排出しないカーボンフリーエネルギーに切り替えることを表明しています。

また、Googleは「Google1社だけで気候変動に取り組めるわけではない」とし、2030年までに50億ドル(約5370億円)以上を投じて世界の主要な製造業地域で5ギガワットのカーボンフリーエネルギーの利用実現を目指すなど、カーボンフリーな世界の実現に向けさまざまな投資を行う考えを示しています。

3.Apple

Appleは、データセンターなどで使う電力を風力発電などでまかなうこのによって2018年にカーボンニュートラルを達成しています。

また、2030年までに製造サプライチェーン、製品ライフサイクルのすべてを通じてカーボンニュートラルを目指すと表明しました。現在、世界17ヵ国、71社のサプライヤーがApple向けの製品・部品・原材料を再生可能エネルギー100%で生産することを表明しています。

今後、Appleとの取引を継続するためには、2030年よりも前に再生可能エネルギー100%による生産を開始する必要となり様々な企業がGXを進めるきっかけとなるかもしれません。

GXに取り組んでいる既存企業の事例【国内】

GXに取り組んでいる既存企業の事例【国内】

ここからはGXに取り組んでいる国内の既存企業の事例を紹介します。

紹介する企業は以下の3社

  1. トヨタ
  2. NTT
  3. ENEOS

1.トヨタ

トヨタは工場から排出されるCO2を2013年から現在までに約35%以上削減を実現しています。

また、2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」として、自動車が地球環境に与える悪影響を限りなく0にする取り組みを発表しました。チャレンジの内容としてトヨタは以下の項目を挙げています。

  • ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ
  • 新車CO2ゼロチャレンジ
  • 工場CO2ゼロチャレンジ
  • 水環境インパクト最小化チャレンジ
  • 循環型社会・システム構築チャレンジ
  • 人と自然が共生する未来づくりチャレンジ

2.NTT

NTTは以下3つの取り組みを紹介しています。

  • フレキシブル・ハイブリッドワーク
  • 温室効果ガス排出可視化PoC
  • データセンターのグリーン化

フレキシブル・ハイブリッドワークはリモートワーク率を上げることでオフィスと紙の使用量を削減しオフィス電力を含めたCO2の削減を目指す取り組みです。

温室効果ガス排出可視化PoCはオフィスや通信ビル、データセンターごとにどれくらいの温室効果ガスを排出しているかモニタリングして数値で表すことで、将来の排出量や削減必要量を具体的に設定できるようにする取り組みです。

データセンターのグリーン化はデータセンターでの「消費電力の省エネ化」「再生可能エネルギーの利用を促進」することでデータセンターの脱炭素化を目指す取り組みです。NTTはこの取り組みを2030年までの実現を目指していると表明しています。

3.ENEOS

ENEOSは2040年までに脱炭素化を目指しており「2040年長期ビジョン」を掲げています。ENEOSでは、精製段階で排出されたCO2を2013年から2020年までに500万トン以上削減しています。

また、ENEOSは燃料電池自動車(FCV)や燃料電池バス(FCバス)などにおける低炭素化を進めるべく水素ステーション事業を推進しています。炭素分を含まず、利用時に二酸化炭素をいっさい排出しない水素への関心は世界中で高まっています。

そのほか、多数の洋上風力発電プロジェクトにも参画し脱炭素化を実現するため2030年までに洋上風力発電の規模を数GWまで増やす計画を進めています。

まとめ

いかがだったでしょうか。近年、地球温暖化の影響などによる気候変動から人々の環境問題に対する意識の変化によりGXへの注目は年々高まっています。

現在でもEGS投資など環境問題対策へ取り組んでいるかどうかが企業としての一つの評価基準となりつつあり、今後もその流れは拡大していくことが予想されます。

近い将来、企業の在り方として「環境対策」への取り組みが必須となることでしょう。

今からでも早すぎることはありません。来るべき脱炭素時代に備え、できるところからGXを進めていくのも良いのではないでしょうか。

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