近年、多くの企業が取り組んでいるDX化。自分の会社もDX化で業務効率、業務環境をより良くしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかしながら、DX化を進めるとなると業務を効率化するためのソフトウェアやシステムの導入、それを使うためのハードウェアの用意とそれなりの費用が発生します。
今回はそんなDX化の資金として利用できる補助金・助成金を紹介します。全国で使える制度から和歌山市限定で使える制度もありますので、和歌山市で起業を考えている方、これからDX化を考えている方必見です!
DXとは
DXは「Digital Transformation」(デジタルトランスフォーメーション)の略です。Transformationは「変容」という意味があり、直訳すると「デジタルによる変容」となります。
デジタルと聞くとDXより前から注目を浴びていた「IT化」という言葉が思いつくのではないでしょうか。DXとIT化は同じように見えますが実は大きく意味合いが変わってきます。
DXの意味やIT、IOTとの違いなどについては過去に紹介した記事がありますので「DXとはなんぞや?」というところから興味のある方はそちらの記事もご一読ください。
全国でDX化に使える補助金・助成金 4選
ここからは全国で申請することのできる補助金・助成金を紹介します。
紹介するのは以下の3つの補助金・助成金です。
- IT導入補助金
- 事業再構築補助金
- ものづくり補助金
1.IT導入補助金
IT導入補助金はITツール導入に活用することができる補助金です。補助には以下4つの枠組みがあり、それぞれ補助率や補助の上下限額が定められています。
枠名 | 補助率 | 補助額 |
通常枠(A類型・B類型) | 費用の1/2 | A類型:30万円~150万円未満 B類型:150万円~450万円以下 |
セキュリティ対策推進枠 | 費用の1/2以内 | 5万円~100万円 |
デジタル化基盤導入枠 | 5~50万円以下:3/4 50~350万円:2/3 | 5万円~350万円 |
デジタル化基盤導入枠は、会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフトなどに特化した枠組みですがパソコンやタブレットなどハードウェアの購入費用にも補助を受けることができます。
公式サイト:IT導入補助金2022
2.事業再構築補助金
事業再生構築補助金はアフターコロナを見据えた事業の転換を支援するための補助金です。DX化も従来のビジネスモデルからの転換と言えますのでこちらの補助金の対象となります。こちらの補助金も枠が設けられており、以下の6つの枠があります。
枠名 | 補助率 | 補助額 |
通常枠 | 中小企業等:2/3 (6,000万円を超える部分は1/2) 中堅企業等:1/2 (4,000万円を超える部分は1/3) | 100万円~8,000万円 ※従業員数に応じて上限設定 |
大規模賃金引上枠 | 中小企業等:2/3 (6,000万円を超える部分は1/2) 中堅企業等:1/2 (4,000万円を超える部分は1/3) | 8,000万円〜1億円 |
回復・再生応援枠 | 中小企業等:3/4 中堅企業等:2/3 | 100万円〜1,500万円 ※従業員数に応じて上限設定 |
最低賃金枠 | 中小企業等:3/4 中堅企業等:2/3 | 100万円〜1,500万円 ※従業員数に応じて上限設定 |
グリーン成長枠 | 中小企業等:3/4 中堅企業等:2/3 | 中小企業等:100万円〜1億円 中堅企業等:100万円〜1.5億円 |
緊急対策枠 | 中小企業等:3/4 中堅企業等:2/3 | 100万円〜4,000万円 ※従業員数に応じて上限設定 |
対象者は以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年若しくは2020年1月~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
- 「新分野展開」「業態転換」「事業・業種転換」「事業再編」のいずれかに取り組むこと
- 「認定経営革新等支援機関」と3~5年の事業計画を策定すること
また、通常枠以外の枠では、それぞれ個別の要件も設定されており、そちらも満たす必要があります。詳しくは公式サイトをご確認ください。
公式サイト:事業再構築補助金
3.ものづくり補助金
ものづくり補助金は、企業が取り組む革新的なサービスや試作品の開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する補助金です。もちろん、DX化にも利用することができます。
こちらの補助金にも各枠が設けられています。枠は以下の5つ
枠名 | 補助率 | 補助額 |
通常枠 | 1/2 (小規模事業者等:2/3) | 750万円~1,250万円 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 | 2/3 | 750万円~1,250万円 |
デジタル枠 | 2/3 | 750万円~1,250万円 |
グリーン枠 | 2/3 | 1,000万円~2,000万円 |
グローバル展開型 | 1/2 (小規模事業者等:2/3) | 3,000万円 |
上記に加えて策定、実行する3~5年の事業計画において以下の要件を満たす必要があります。
- 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
- 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上
また、それぞれの枠に設けられた個別の要件もありますので、詳しくは公式サイトをご確認ください。
公式サイト:ものづくり補助金総合サイト
4.小規模事業者持続化補助金<一般型>
小規模事業持続化補助金は経営計画を作成し、それらに基づいて行う販路開拓の取組み等の経費の一部を補助するものです。補助金の枠は以下の6つ
枠名 | 補助率 | 補助額 |
通常枠 | 2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4) | 50万円 |
卒業枠 | 2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4) | 200万円 |
創業枠 | 2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4) | 200万円 |
賃金引上げ枠 | 2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4) | 200万円 |
後継者支援枠 | 2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4) | 200万円 |
インボイス枠 | 2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4) | 100万円 |
また、補助対象者については以下の要件を満たしている必要があります。
- 小規模事業者であること
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
- 確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
- 下記2つの事業において、本補助金の受付締切日の前10か月以内に、先行する受付締切回で採択を受けて、補助事業を実施した(している)者でないこと(共同申請の参画事業者の場合も含みます)。
①「令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>」
②「令和2年度第3次補正予算 小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>」
詳しくは公式サイトをご確認ください。
公式サイト:小規模事業者持続化補助金
和歌山市限定でDX化に使える補助金・助成金
ここからは、和歌山市限定で使うことのできる補助金・助成金を紹介します。また、番外編として補助金・助成金ではありませんが和歌山市で受けられる融資制度も紹介します。
和歌山市事業再構築支援補助金
和歌山市事業再構築支援補助金は事業転換の取り組みや事業再編、規模拡大を目指す企業を支援する和歌山市独自の補助金です。
国の事業再生構築補助金における補助対象経費に1/6を乗じた額(上限100万円)が補助金となります。そのため、上で紹介した国の事業再構築補助金の交付の確定を受けていることが必須となります。
また、中小企業者又は中小企業者と同等と認められている必要があります。
(国の事業再構築補助金で定義される「中堅企業等」は対象外となります)
中小企業者と認められる要件は以下の通り
業種 | 資本金・出資金 | 常時雇用する従業員数 |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 (自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
公式サイト:和歌山市事業再構築支援補助金 ~国の事業再構築補助金への上乗せ支援について~
番外編:和歌山市中小企業融資制度
和歌山市中小企業融資制度は中小企業の経営の安定と健全な発展を図るための融資制度です。こちらは融資となるため、返済・担保が必要になります。
各融資の融資対象は以下の通り
融資枠名 | 貸付限度 | 利率 |
普通事業資金(保証協会付) 一般枠:中小企業者 まちなか枠:まちなか※1に事業所を新設※2される中小企業者 | 8,000万円以内 | 年1.9%以内 |
小口応援資金(保証協会付) 一般枠:小規模企業者 まちなか枠:まちなか※1に事業所を新設※2される小規模企業者 (従業員20人以下、商業・サービス業(宿泊業及び娯楽業を除く)の場合は5人以下) | 2,000万円以内 | 年1.0%以内 |
起業家支援資金(保証協会付) 一般枠: (1)事業を営んでいない個人で1か月以内に創業する具体的な計画を有する方 (2)事業を営んでいない個人で2か月以内に会社を設立し、創業する具体的な計画を有する方 (3)事業を開始した以後の期間が5年未満の個人 (4)設立の日以後の期間が5年未満の会社 まちなか枠: 上記(1)から(4)までのいずれかの条件を満たす方で、まちなか※1に事業所を新設※2される方 | 3,500万円以内 | 年1.0%以内 |
セーフティネット資金(保証協会付) 「中小企業信用保険法第2条第5項第1号から第8号」の規定に基づく 特定中小企業者として市長の認定を受けた方 | 8,000万円以内 | 年1.1%以内 |
※1 まちなか:本市が平成11年3月に策定した和歌山市都市計画マスタープランに定める中心部地域のうち、都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号の商業地域
※2 新設:まちなかに事業所を有しない方がまちなかに新たに事業所を設けること、又はまちなかに事業所を有する方が当該事業所と異なる事業所をまちなかに新たに設けること
また、上記に加えて以下の要件を満たしている必要があります。
- 融資申込日現在において、和歌山市内で事業を行っていること。(起業家支援資金については、和歌山市内で新たに事業を開始しようとする方を含む。)
- 和歌山市民、または和歌山市内に本支店の登記をしている法人であること。
- 和歌山県信用保証協会の保証対象業種であること。(農業、林業(一部を除く)、漁業、金融業、保険業(一部を除く)、サービス業の一部などは対象となりません。)
- 許認可及び登録を必要とする業種は許認可等を受けていること。(一部起業家支援資金を除く。)
- 市税を完納していること。
詳しくは公式サイトをご確認ください。
公式サイト:和歌山市中小企業融資制度
まとめ
いかがだったでしょうか。アフターコロナということもあり、受けられる補助金・助成金の種類も増えています。DX化をお考えの場合はぜひこの機会に様々な補助金制度を活用してDX化を進めるためのコストを削減してみてはいかがでしょうか。
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