2020年よりリリースされたGoogle アナリティクス4(GA4)現在は現行モデルであるユニバーサルアナリティクス(UA)と並行して利用することができますが、皆さんGA4は利用していますか?
中にはこう考えている方もいるのではないでしょうか。
- まだUAが使えるし使い慣れたUAでいいや
- GA4もUAもそんなに違いないんじゃないの?
その考え方は少し危ないかもしれません。今回のGA4はUAから大きく変更が加えられます。大まかに言うとよりユーザーに沿った粒度の高い情報を集めることができるようになります。またUAは、2023年7月にはすべてのデータの蓄積が停止になり、加えて2024年にはデータが閲覧できなくなります。
UA終了の期日が迫り、焦ってGA4へ移行してもすぐに活用することは難しいでしょう。そうしている間にも既に移行を進めていた同業他社に大きなリードを握られてしまうことになります。そうならないためにも今の内からGA4に慣れておくことが重要になります。
しかし、そもそもUAとGA4って何が違うの?どう変わるの?という疑問を持っている方も多いかと思います。今回はGA4とUAの違いに重点を置いてサクっと解説していきます。
GA4とは
GA4とはGoogleが提供する無料のアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」の次世代バージョン「Googleアナリティクス4」の略称です。後ろに付いている数字でも分かる通り、Googleアナリティクスは定期的にアップデートされており、今回はそんなアップデートの中でもかなり大きな変更が加えられるアップデートになります。
現行のバージョンはGA3、ユニバーサルアナリティクス(UA)と表現されます。
Googleアナリティクスではユーザーがどこから来て、どのページを訪問し、どのくらいの売り上げに繋がったのかを可視化することができ、Webマーケティングを行う上で必須のツールになります。
GA4とUAの違いは?
ここからはユニバーサルアナリティクスからGoogleアナリティクス4になることでどう変わるのかを解説します。
変更は以下の通り
- 計測方法がセッション軸からイベント軸へ
- アプリとWebページを横断して計測可能
- 直帰率・離脱率の廃止と新たな指標「エンゲージメント率」
- コンバージョンのカウント方法変更
- BigQueryとの連携が無料に
1.セッション軸からイベント軸へ
ユニバーサルアナリティクスでは計測をセッション軸で行っていました。セッション軸ではユーザーがサイトを開いてから離脱するまでを計測します。対してGoogleアナリティクス4ではこの計測がイベント軸での計測に変更されます。イベント軸ではサイト内での行動を細かく計測します。
例えば、サイト内に動画のあるページがあるとします。
セッション軸では「ページの内容も動画もほとんど見ていないユーザー」も「動画は見たけど最後までページは見ていないユーザー」も「ページも動画も最後まで見たユーザー」もページが表示されれば同じ1として計測されていました。
しかし、イベント軸では「動画を途中まで再生した」「動画を最後まで再生した」「ページを最後までスクロールした」といったページ単位ではなくユーザーの行動単位で計測することができます。
このユーザーの行動をより細かく可視化できるようになったのが従来のユニバーサルアナリティクスと次世代のGoogleアナリティクス4の大きな違いと言えるでしょう。
2.アプリとWebページを横断して計測可能
従来のユニバーサルアナリティクスでは例えば商品をWebページで探しアプリで購入した場合、それぞれWebページとアプリ別々のユーザーとしてカウントされていました。
Googleアナリティクス4ではアプリとWebページを横断しても1ユーザーとしてカウントされ、ユーザーの行動をより細かく把握することが可能になります。
3.直帰率の廃止と新たな指標「エンゲージメント率」
Googleアナリティクス4ではユニバーサルアナリティクスであった直帰率という指標が廃止となります。直帰率とはサイトを訪れて1ページしか見ずサイトを離脱してしまったユーザーの割合のことを指します。
廃止の理由としては諸説ありますが、直帰率の計測方法が時代にそぐわなくなってきたためと考えられます。
例えば、サイトを開いた瞬間閉じた正しく直帰したユーザーAとサイトを開いて1ページ目にある動画を最後まで見て閉じたユーザーBとでは同じ直帰にカウントされますがユーザーの属性としては全く違いますよね?
そして、この直帰率に変わって新しく導入された指標が「エンゲージメント率」です。
エンゲージメントは一定時間の滞在(10~60秒の間で設定可能)や一定数以上のイベントを起こした場合にカウントされます。先ほどの例に当てはめてみるとユーザーAはカウントされず、ユーザーBはエンゲージメントがあったとカウントされます。
エンゲージメント率の登場によりGA4ではより細かくユーザーの属性を分けられるようになりますが、今までSEOなどの面で大きな指標となっていた「直帰率」がなくなるという点では注意が必要です。
4.コンバージョンのカウント方法変更
Googleアナリティクス4ではコンバージョンのカウント方法も変更となります。コンバージョンとはそのサイトでユーザーにして欲しいこと=ゴールのことを指します。例えば「資料請求をしてもらう」や「商品を購入してもらう」などです。
Googleアナリティクスではこのコンバージョンを設定して達成された回数をカウントすることができます。
従来のユニバーサルアナリティクスでは1回の訪問で複数回コンバージョンを達成した場合でもコンバージョン達成は1回とカウントされていました。
しかし、次世代のGoogleアナリティクス4ではこのコンバージョンが全てカウントされるようになり、より細かくコンバージョン達成への分析をすることができるようになります。
5.BigQueryとの連携が無料に
BigQueryとはGoogleのデータウェアハウス製品です。簡単に言うと大量のデータを蓄積する倉庫です。
BigQueryと連携できることでどういうメリットがあるのかというと、Googleアナリティクスで収集した生のデータをSQLによって自由に分析することができる点です。
現行のユニバーサルアナリティクスではBigQueryへの連携は有料オプションの使用が必要で、グラフや表など集計し加工したデータを確認することはできても、生のデータは有料オプションがなければ扱うことができませんでした。
しかし、Googleアナリティクス4からはBigQueryへの連携が無料で提供されます。そのため、誰でも生のデータを使って分析をすることができるようになります。(連携は無料ですが連携後のデータ処理には別途料金が発生します。)
GA4とUAのデータを見る際の注意点
ここからはGoogleアナリティクス4と現行のユニバーサルアナリティクスのデータを見る際の注意点を解説します。
注意点は以下の通り
- UAに比べてGA4の方がセッション数が減少しているように見える
- UAに比べてGA4の方がコンバージョンが多く見える
1.UAに比べてGA4の方がセッション数が減少しているように見える
イベント軸への変更やデバイスによる横断的な計測など今まで個別に計測していたセッションがユーザー単位で地続きになることで、ユニバーサルアナリティクスのデータと比べてGoogleアナリティクス4のデータの方がセッション数が減少して見えます。
しかし、そもそもの計測方法が変わっていますので比較はあまり意味がありません。Googleアナリティクス4とユニバーサルアナリティクスのデータは別々のデータとして見ることをおすすめします。
2.UAに比べてGA4の方がコンバージョンが多く見える
コンバージョンのカウント方法変更の項目でも解説したように、今まで1回の訪問で複数回のコンバージョン達成が1回としてカウントされていたものがGoogleアナリティクス4からは全てカウントされまる。そのため、ユニバーサルアナリティクス比べてGoogleアナリティクス4の方がコンバージョンが多く見えます。
こちらも、計測方法が変わっていますので別々のデータとして見た方が良いでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。ユニバーサルアナリティクスでは「ページの閲覧」に重点を置いて計測していたのに対し、Googleアナリティクス4ではより細かく「ユーザーの行動」に重点を置く計測に変わっています。
計測方法も変わり、直帰率の廃止など大きな変更点が多数ありますので、まだユニバーサルアナリティクスが使えるからと後回しにはせず、今の内からGoogleアナリティクス4に慣れておくことをおすすめします。
次回はGoogleアナリティクス4のレポート項目についてサクっと解説します。
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